求められる 技術レベル
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 保健衛生分野

これまでに派遣された保健医療関係の隊員の中で,半数近くを保健衛生分野(看護師,助産師,保健師:看護職)が占めています。保健医療関係職種の中で専門的資格が求められる職種では,いずれも最低3年の実務経験が必要でしょう。

看護職の場合にはどこで活動するか(病院,地域,教育,行政)によって求められる技術が異なります。要請の約60%は病院での活動ですので,外科系・小児科・ICU・産科(助産師の場合)や,手術室などでの専門的な臨床経験が求められますが,さらにそれら専門の知識や技術を活動先の看護職に伝えられる程度に理解して身に付けておくことが重要です。ただし日本のように高度な医療機器があるわけではありませんので,同じような機器がなくても状況に合わせて物品を工夫して活動できる柔軟さが期待されます。また,高度な専門技術よりも清潔操作や日常生活援助技術のような基礎看護技術の基本を押さえておくことが必要です。活動先で看護を改善しようと考えるなら,看護について言葉で説明できる,あるいは実際に行ってみて看護であると相手を納得させることが必要ですので,自分の考えを明確に表明できることも技術の一つといえます。

看護職の要請の約35%を占める,地域での活動は保健センターや保健ポストと呼ばれる診療機能を備えた施設(日本の保健所に該当)での活動が中心となります。ここではプライマリヘルスケア(PHC)の考え方を基盤に,診療だけではなく母子保健活動,地域住民の健康教育活動,予防接種普及活動などを行っていますので,保健師であっても医療機関での臨床経験があると実際の活動に有利に働くでしょう。地域での活動では健康教育の手法が欠かせませんし,住民自身が健康問題に取組めるように組織づくりを行って,自分たちで問題を解決できるように促すことが必要です。

わずかですが,看護学校や看護系大学での活動の要請もあります。看護教育に関する活動は臨床経験があれば行えるというものではありません。少なくとも臨床実習指導者講習会を受講して実際に臨床指導経験がある,あるいは教員養成コースを受講している,教員経験があることなどにより臨床実習指導の技術,基礎看護技術を指導するための教育技術,授業計画作成技術などが望まれます。行政での活動を要請されることはほとんどありませんが,特に求められるのは看護全般と地域看護,地域保健計画に関する知識と技術,教育指導に関する技術,管理に関する技術です

派遣される国は熱帯・亜熱帯地方がほとんどですので,日本でみることが稀な熱帯病の治療・看護についても知識を得ておくと役立ちます。

各国の看護師の仕事振りを見ていて感じることは日本人看護職の看護への思い入れの深さと真面目さです。ぜひ日本の看護を伝えることで,国際交流を図るとともに,日本の看護と看護職のよさを伝えて下さい。看護は文化そのものである生活に焦点を当てて働きかけるという機能がありますが,異なる文化に適応する能力がまさに異文化看護の能力そのものです。確かな知識,技術とともに異文化適応能力を備えた方の世界各国での活躍を期待しています。

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