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腸チフス Typhoid fever

アジアやアフリカの衛生不良地域で多発する。
一般的予防法
○ 経口感染症 で、飲食に関する注意が重要である。
早期診断・早期治療
○ 主な症状は 発熱。診断がつけば、抗生物質(ニューキノロン系)が有効。
予防接種
△  ワクチン がありますが、効果を疑問視する意見もあります。
パラチフスは腸チフスの類似疾患である。感染様式、症状、診断法、治療法ともほとんど同じである。ただし、起因菌が異なるので、ワクチンによる予防効果は期待できない。

腸チフス菌 Salmonella typhi

腸チフス菌 Salmonella typhiはヒトにのみ感染する。患者、保菌者の糞便、尿に出現する。

腸チフス Typhoid fever

【潜伏】 潜伏期は2週。
【症候】 主症状は 発熱。徐々に体温が上昇し、39度以上の発熱が持続する。消化器症状は必発ではないが、しばしば水様性下痢や腹痛がみられる。典型例では、脾腫、白血球減少、比較的徐脈、バラ疹、チフス様顔貌、意識障害などの症状がみられる。有効な治療を行わなければ発熱は1ヶ月程度持続する。また、いったん解熱しても、しばしば再発を繰り返す。
【診断】 発熱時には血液から腸チフス菌が検出される。第2週以降は便や尿からも腸チフス菌が検出される。
【治療】 ニューキノロン系抗菌薬。安静(合併症の予防)。
【合併症】 発熱から3〜4週後に腸に潰瘍が形成される。この時期に、腸出血(20%)、腸穿孔(2%)などの合併症が発生することがあるので注意が必要である。

腸チフスの発生状況

衛生状態の悪い地域で頻発し、流行地はA型肝炎のそれと大差ない。

Reference: Immunization guide for travellers, Pasteur Merieux Connaught ( 現 Aventis Pasteur )

注.腸チフスの発生頻度を示す数値には2種ある。両者を混同しないこと。

患者発生率( incidence )
インド、アフリカなどへの旅行者は1ヶ月あたり0.03%の確率で感染すると言われている。つまり感染リスクは年間1%以下である。これは発熱患者の血液から腸チフス菌が検出された例を数えたもので、確実な数値である。ただし感染源として重要な無症候感染者が対象となっていない。
抗体保有率( sero-prevalence )
発展途上地域の長期滞在者を対象に抗体検査を行うと、50%近い陽性率が得られる場合がある。この数値を信頼するなら、年間10%以上が腸チフス菌に無症候感染していることになる。ただし抗体検査は偽陽性が多く、信頼できないとする意見も多い。


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